蒲池山の大蛇伝説 商工観光課   
蒲池山ため池
蒲池山ため池にまつわる二つの伝説をご紹介します。

「蒲池山の大蛇伝説」T

 山川地区の山の途中や麓には、田に水を引き入れるためのため池(堤)がたくさんあります。このため池の長さは、どんなに長くても百間(約200m)はないと言われています。それ以上の長いため池でも、人々は「九十九間以上はない」と言うことにしています。それは次のような言い伝えがあるからです。
「ある年の夏、蒲池山の堤のそばの家に一人のおじいさんが現れた。真っ白な長いひげと真っ白な着物、目つきの鋭いおじいさんで、家の主に『この堤の長さは百間あるか。深さはどれくらいか。』と聞いた。薄気味悪く思った主は、『この堤は浅く、長さも九十九間で、とても百間はありません。』と、うそを言った。これを聞いたおじいさんは、がっかりした様子で、『九十九間か、それではとても住めない。』と言ってパッと姿を消した。その後大きな大蛇が堤の中から現れザワザワと草木を押し倒して山の方へ消えて行った。実は白ひげのおじいさんこそ大蛇の化身だったのだ。」  



「蒲池山の大蛇伝説」U

 昔むかし、それはむし暑い夏の日のある日の夕方のことじゃった。河原内の入り江に一艘の小舟が波間にただよい、流れついた
げな。あまりの蒸し暑さに夕涼みに出ていた村の若いもんがバラバラと寄っていったげな。小舟の中には一人の若いおなごの死んだ
ごつたおれとったげな。若いもんたちゃ、どげんしたもんやかちお互いに顔ば見合わせながら困ってしまい、ぼけっと立っとるだけ
やったげな。そん中から一人の若もんが、小舟ば岸さん引き上ぐっとさっと乗り移り、すぐおなごば引き起こしたげな。すると、
おなごは、ぱっちりときれいな目ば開けて、辺りば見回しながら若いもんに聞いたげな。
「ここは、どこですか。私は龍神の使いの者です。蒲池山というところに行きたいのですが、どう行ったらいいのでしょうか。」
若いもんが、
「この道ば真っ直ぐ、山さん向かって行くとよかばんも。」
答えると、おなごは、
「ありがとうございました。」
ち、きれいな声で挨拶ばして、蒲池山の方さん消えていってしもうたげな。
残された若いもんは、ぽかんとしてしばらくは口もきけんやったげな。しばらくして、もとん所さんもどると、皆が口々に
  「よかおなごじゃったの。」
 「何しに来たつやろか。」
 「どっから来たちよったかん。」
  「蒲池山さん、行きたかつげな。そっだけしかわからんじゃったばん。」
 「どっから来たつか聞くならよかったばってんの。」
 「それにしたっちや、よかおなごじゃったの。」
など、話しながら、三々五々家さん帰って行ったげな。
  そん晩は、特に蒸し暑くなった。そして、夜中から闇を切り裂くごつ稲妻が走り、雷鳴がとどろき、豪雨となったげな。ばってん、
明け方にはころっと天気もようなって、昨夜の嵐など、嘘んごつよか天気になったげな。
朝早うから、若いもん達が昨日ん出来ごつや嵐んこつば話しながら、集まってきたげな。
すると、そこさん、昨日んおなごの、少しやつれた様子で、小舟でやってきたげな。若いもんが小舟ん周りさん集まってきたげな。
そして、今度こそ、おなごん正体ばつきとめようと、口々に聞いたげな。
「あなっつぁんな、どっから来たつかんも。」
「蒲池山さん何しに来たかんも。」
「名前ば教えんかんも。」
「あなっつぁんな言葉んちっとばっかり違うごたる。どっか普通んもんと違うごたるばってん、どこから来なはったつかんも。」
 ばってんがら、おなごは、質問ば気にもとめんで、きれいか声で、また昨日のお礼ば言うと小舟に乗り込んで、
  「私は、昨日申し上げたように、龍神の使いの者です。蒲池山には、龍神の住むのに都合のいい大きなため池と深い谷がたくさん
あると聞いて見に来ました。しかし、立派な溜め池はありましたが、谷が一つ足りませんでした。明け方まで探して、九十九まで
谷を見つけましたが、どうしても、一つ谷が足りませんでした。
それで、あきらめて、帰るところです。」
というと、小舟をさっと沖へこぎ出したげな。そして、
「昨晩は、皆さんを大変驚かせて申し訳ありませんでした。」
というがはやいか、はやてのように沖へ消えてしもうたげな。後には、若もん達が呆然とたたずんどったげな。
〜山川町 郷土史研究会編「山川町の民話・伝説・伝承 創設二十周年記念 改訂版」より抜粋〜

 
■所在地:みやま市山川町河原内(蒲池山ため池)

■交通情報:九州自動車道「みやま柳川IC」から車で10分
       国道443号線の尾野信号よりオレンジロードをを立花方面へ約2.5km
      
■問い合わせ:みやま市商工観光課(0944-64-1523)